川上弘美 「なんとなくな日々」とそういう人たちと、僕。

「寒くなったせいだろうか。電球が消える」

これは川上弘美のエッセイ集「なんとなくな日々」の中に収録されている、「なんとなくな日々16」の冒頭の一節です。
このくだりを読んだとき、僕は部屋で一人、他に誰もいない事を確認する事も無く大爆笑をしてしまった。

一遍3〜4ページの短いエッセイ集「なんとなくな日々」は、日常の中に潜んでもいないし隠れてもいないのに、ただ誰もそこに意識をとめないがために日々通り過ぎてしまっている面白い自分や風景を、作者は自らの体験を通して、そして「なんとなく」な振りをして(笑)僕達にこっそり教えてくれる。もちろん、決して「なんとなく」読めない鋭い洞察と出会いに満ちた素敵な言葉ばかり。(まぁ優れたエッセイってそういうものですが)
川上弘美さんも相当変わった人であるとは思うが、エッセイの中で現れる&語られる人物も、彼女に負けじと(時には凌駕する)変わった人たちばかり。やはりそういう人には老若男女を問わず、そういう人が集まるのだろうか。

僕もそういう人間になれるかどうかを考えた。なれていない時もあるだろうし、なれている時もあると思う。誰だって「寒くなったせいだろうか。電球が消える。」的な思考を、意識的/無意識的に生活の中でしている時があるはずだ。



いや〜、一度お会いしたい。


24日、新高円寺クラブライナーでの弾き語り、よろしくお願いします。